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VOL.02

Vol.2:会社ぎらいのくせに、会社を設立した理由。

2013年1月、代表が会社勤めを辞めて設立したのがリアライズだ。起業を決意させたものは何だったのか。会社っぽいことが嫌いだった代表は、どうして正社員を雇う会社をつくったのか。キーワードとなるのは、「挑戦」と「リスクヘッジ」。初めて雇い入れた社員のこと、社員の退職で感じたこと、従業員が定着するまでのことを聞く。

INTERVIEW

  • リアライズは2013年設立ですが、なぜ、そのタイミングだったんですか。

    砂田

    設立直前まで働いていた会社に、「営業の神様」みたいな凄腕の営業マンがいました。彼と二人で営業をしていたんですが、それはもう、売って売って売りまくっていたんです。でも、なぜか会社は赤字だった。自分が見積もりを出すわけですから、原価がいくらで利益がどのくらいで…というのはわかっていました。

    これだけ利益があるのに赤字というのはおかしいぞ、と。会社としてよろしくないことが起きているのか、構造上の問題があるのかはっきりしませんが、続けていくのは無理だと判断したんです。

    転職するという選択肢も当然、ありましたが、従業員として雇われることで、過去の嫌な経験を繰り返すかもしれないと思ったら、独立が自分には合っているんじゃないかと考えました。幸い神様と親しくなれたので、彼がいれば大丈夫だという安心感もあって。

  • それが2013年で、神様と一緒につくったのがリアライズというわけですね。

    砂田

    いや、神様と起業するつもりでしたけど、彼は合流しなかったんです。じゃあ一人でやれるのかという判断になりますけど、そこはもう「やるしかない」という腹の括りをして。

    起業してからは仕事獲得に苦労するかもと思っていたんですが、昔からのお客さんが仕事を依頼してくださったり、他のお客さんを紹介してくださったりで、仕事がなくて困るということはありませんでした。

  • 会社という枠組みに嫌なことが多かったのに、一人という選択をしなかったのは?

    砂田

    確かに一人だったら、評価とかいらないですし、面倒なことは考えないで済んだと思います。でも一人だったら、どこかの会社に入ってもいいかなとも考えていました。嫌な部分が少ない会社を選べばいいですし、耐えられなかったらそのときに考えたらいい。

    ただ、せっかくのタイミングだったので、これまでに経験していないことに挑戦したかったんですよね。従業員を雇うとか、働いている人たちに対して、会社員の嫌な部分がない環境を提供するとか。

    それから、会社にしたのはもうひとつ理由があって。例えば自分が病気になったとき、支えてくれる人がいて成り立つのが会社じゃないですか。誰かに何かあったときに支え合える状態、不測の事態へのリスクヘッジがなされている状態です。

  • 話を聞いている範囲では、砂田さん自身が会社に助けられた経験はなさそうですが。

    砂田

    僕自身は助けられた経験はないです。でも、自分が老いていったときとか、一人でやるからには、将来的にリスクはあるわけで。まぁサラリーマンといえど安泰じゃない時代ですし、起業して数年のリスクは非常に大きくなるわけですけど。

  • 挑戦とリスクヘッジを併せ持つのが、砂田さんにとっては会社づくりだったんですね。挑戦の部分として大きいのは、従業員を雇うことかと思います。リアライズとして最初に雇い入れたのは、どんな人だったんですか。

    砂田

    最初に社員を雇ったのはアシスタントディレクターで、起業して2ヶ月後です。僕自身が営業とディレクターを兼任していたので、お客さんからの連絡に対応できないことが増えてきて。でもその人、数ヶ月で辞めてしまいました。

  • 初めて雇った人なので、ショックを受けたり挫折を味わった?

    砂田

    ショックといえばそうですけど、仕方ないかなと。その人は、お客さん対応が非常に上手でしたし優秀だったんです。でも本人としては、アイデアを出したりクリエイティブな仕事をしたいと思っていたそうで。そこを求めて雇ったわけじゃないですし、仕事をする間にうすうす感じていた部分だったので、諦めはつきました。

    彼女が抜けた穴は、外注のアシスタントディレクターに依頼して埋めることができたので、経営自体に大きな影響はなかったです。次に雇った正社員は、先輩の娘さんを事務職として。でも半年くらいで、熱を出して休みますと。実際に体調が悪そうだったので、早退させてゆっくり休んでくださいと伝えたんですが、数日後にお父さん、つまり僕の先輩から「辞めるっていってる」と連絡がきました。

  • お父さん、気まずいですね。雇った人がすぐに辞めてしまったのはなぜでしょう。

    砂田

    いま思うと、僕と二人きりという会社に耐えられなかったのかもしれません。いや、いじわるしたとかハラスメント的なことではなくて。僕は外出ばかりなので、オフィスに独りきりになります。

    お客さんからの電話に出たり、備品が足りなくなったらアスクルで注文して、たまに掃除でもして……という感じで、あまり忙しくなかったので、ヒマに耐えられなかったのかもしれません。

  • いまは退職が多いわけじゃないので、どこかで定着するようになったわけですよね。

    砂田

    2014年10月、起業して1年半くらいですかね。それまでは制作は外注していたんです。自前で制作部隊を持つのはリスクだと思っていたんですが、お客さんが増えてきて、外注先を探すのも苦労するようになって。

    スピード感が足りない、お客さんに対して満足いく仕事ができていないと感じました。僕が思うスピード感のためには内製しかないと判断して、デザイナーを3名も雇ったんです。当時は、事務の人とディレクター、そして僕の3名しかいない会社でしたけど。

  • デザイナー3名の入ったあたりが、リアライズの会社としての第1期となるわけですね。
    いよいよ会社としての体裁をなしてきたわけですが、従業員が増えたことでの苦労もあると思います。
    雇い続ける責任があって、仕事を増やさないといけないし、社員からは不平や不満の声も上がるでしょう。
    砂田さんが社長として、どのように社員と向き合っているのか、嫌なことのない会社づくりは進んでいるのか。次はそのあたりを聞かせてください。